「なんで自分の上段回し蹴りはうまく決まらないんだろう?」
そう悩む生徒さんは少なくありません。
上段回し蹴りは一見「足を高く上げる」だけの単純な動作に見えますが、実際は体の軸・タイミング・脱力・意識のすべてが噛み合って初めて美しく決まる、まさに“総合芸術”です。
私はこれを生徒に伝えるとき、「フィギュアスケートで例えるなら、上段回し蹴りはトリプルアクセルだ!」とよく言います。
フィギュアスケートで誰もが知る高難度の技を引き合いに出すことで、ただの蹴りではなく「高度な技術の結晶」であることが直感的に伝わるからです。
上段廻し蹴りは、素人が簡単に習得できる技ではありません。
なので、最初から上手く蹴れなくても全く問題ないんです。
この記事では、なぜ上段回し蹴りが難しいのか、どうすれば無理なく美しく決まるのかを、空手歴20年の経験をもとに解説します。
👉 初心者には「無理なく上段を蹴るための道筋」を。
👉 経験者には「さらに美しく力強い蹴りに磨くヒント」を。
読後には、「自分にもできる!」と希望が持てるはずです。

🥋上段回し蹴りは「空手のトリプルアクセル」だ
テレビで見たことのある「難しい技」との共通点
上段回し蹴りを一言で表すなら、まさに「空手のトリプルアクセル」です。
トリプルアクセルはジャンプ・回転・着地という複合的な動きが一瞬で求められますが、上段回し蹴りも「軸足の返し」「股関節の開き」「蹴り足の伸展」「体幹の安定」が同時に噛み合わなければ成功しません。
ただ足を上げるだけでは届かない。
体全体を緻密にコントロールした結果として、美しい蹴りが生まれるのです。
なぜフィギュアスケートなのか?
フィギュアスケートは日本で馴染みが深く、「難しい競技」という認識があります。
だからこそ「上段回し蹴り=トリプルアクセル」という例えは直感的でわかりやすい。
華やかに見えて実は細かいタイミング、体重移動、全身の柔軟性と連動が求められる。
この点で、両者は完全に同じ構造を持っています。
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「足を上げるだけ」では決まらない
力任せに蹴ると怪我をする
「とにかく高く蹴ろう」と思って力任せに足を持ち上げると、腰や股関節を痛めます。
突きでも同じで、腕の力だけで打つと肩や拳を痛めてしまいます。
大切なのは「体をどう動かせば自然に足が上がるか」を理解すること。
これが“体の道筋”を意識するということです。
体の“道筋”を理解する重要性
体の道筋を意識するとは、次の要素を頭で描いてから動くことです。
- 軸足をどう返すか
- 上体の姿勢をどう保つか
- 視線をどこに置くか
- 腕をどう補助として使うか
理解してから稽古することで、怪我を防ぎつつ上達が早まります。
頭でイメージして稽古する具体例(軸・目線・腕・タイミング)
軸足が上段回し蹴りを決める
多くの人は「蹴る足」に意識を向けますが、実は主役は「軸足」です。
軸足を相手と逆方向へ返す(踵を相手に向けるように回す)と、股関節が自然に開いて蹴り足がスッと上がります。
さらに「蹴り足を出す瞬間と同時に軸足を返す」ことで、動きが連動して高く・しなやかで美しい蹴りが生まれます。
これは無理に足を持ち上げるのではなく、体の構造に沿った自然な動きなのです。
視線と腕の使い方
- 視線は相手をしっかりと見てブレを防ぐ
- 腕はバランス補助として軽く開く程度にとどめ、開きすぎに注意する
脇を締めて回転力を高める重要性
よく生徒が顔面をガードしながら蹴るとき、脇が大きく開いてしまいます。
これは一見正しいように見えて、実は蹴りを弱める原因です。
フィギュアスケートと同じで、腕が開けば回転は遅くなります。逆に脇を締め、体幹の近くに腕を収めることで、体の回転速度が上がり、遠心力が最大化されます。
つまり、
- 「脇を締めて軸を守る」
- 「体幹の回転を速める」
- 「脱力した足に膝の伸縮を加える」
この流れが、最も効率的に爆発的な蹴りへとつながるのです。
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👊突きも🦵蹴りも「脱力」が命
力を抜ける人ほど上達が早い理由
力を抜くと体がしなやかに動き、全身が連動します。逆に力むと可動域が狭まり、スピードを失います。
「強さ=力むこと」ではなく、「強さ=力をコントロールすること」なのです。
瞬間脱力と爆発力の関係
実は、脱力している方が威力が増す場合があります。
これはゴルフスイングと同じ原理です。
- 腕の力を抜いてスイングすればヘッドスピードが上がる
- 力むとブレーキとなり飛距離は落ちる
空手の突きや蹴りも同じ。
腕や足に力を込め続けるのではなく、体幹から生まれた力を脱力した末端に一気に通す。
これが「瞬間脱力と爆発力の関係」です。
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拳や体を守る“必要な力だけ通す”感覚
力を100%出し続けるのではなく、必要な瞬間にだけ力を通す。
これが体の部位を守り、身体を長く使う秘訣です。
📌関連記事:力を抜く稽古とは?脱力と爆発力の以外な関係を綴った記事👉🏌️♂️悟りゴルフへの一歩|空手の脱力と山下美夢有プロの集中力に学ぶ、心と身体の一致
型稽古で「体の道筋」を身につける
分解稽古で動作を頭に刻む
型を分解して「足」「腕」「目線」を一つずつ確認すると、道筋が頭に入りやすい。
イメージトレーニングの活用法
実際に蹴らなくても、頭の中で正しい形を繰り返すことで体は動きを覚えます。
初心者が挫折しないためのステップ
いきなり上段を狙うのではなく、
- 下段 → 中段 → 上段
と段階的に上げていくと、無理なく習得できます。
📌関連記事:空手を始めようか迷っているすべての方に書いた記事です。👉子供に空手を習わせたい親御さんへ──『エミール』に学ぶ「怪我と成長」の教育論
まとめ──上段回し蹴りは芸術である
上段回し蹴りは、ただの足技ではありません。
体全体の連動、軸の返し、脱力、集中が揃って初めて美しく決まる“芸術”です。
- 蹴り足よりも「軸足」を意識する
- 脇を締めて体幹の回転を速める
- 脱力と膝のしなりで爆発力を生む
- 型稽古で体の道筋を染み込ませる
これらを意識すれば、誰でも美しい上段回し蹴りに近づけます。
✅ 読者への問いかけ
あなたは今まで、上段回し蹴りを「蹴り足」で何とかしようとしていませんでしたか?
次の稽古ではぜひ「軸足を返す感覚」「脇を締めて体幹を回す感覚」「脱力からの爆発力」を試してみてください。
👉 感想をコメントでシェアしていただければ、同じ悩みを持つ仲間へのヒントにもなります。
押忍!共に「美しい空手」を追求していきましょう。
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