準備しているのに、なぜか言えない
原稿は考えた。
お伝えしたいことも、きちんと整理した。
それにもかかわらず、本番が近づくにつれて「言えないかもしれない」という不安が強くなっていきます。
スピーチや会議、挨拶、あるいは大切な一言。
準備をしている方ほど、このような感覚を経験されるのではないでしょうか。
不思議なことに、私はいつもこう感じていました。
「言えないかもしれない」と思っていたのに、本番になると、なぜか言えてしまう。
これは偶然なのでしょうか。
それとも、気合や根性の問題なのでしょうか。
考えていく中で分かったのは、
「言えない原因は、自分の弱さではなかった」ということでした。
第1章|なぜ人は「言えない」と思わされるのか
人が「言えない」と感じるとき、心の中では次のような思考が働いています。
- 失敗したらどうしよう
- きちんと話さなければならない
- 変に思われたらいけない
この状態では、言葉が「気持ちを伝えるもの」ではなく、「評価される成果物」
に変わってしまいます。
つまり、
本当に言えないのではなく、「失敗してはいけない」と思い込まされている状態なのです。
これは能力不足ではありません。
真剣に向き合っているからこそ起きる、自然な反応だと思います。
第2章|実は本番で起きていること
ところが、本番になると状況が変わります。
もう後戻りはできない。
やるしかない。
この瞬間、頭の中では「評価モード」から「実行モード」へと切り替わっています。
- どう話すかを細かく考えなくなる
- 他人との比較や迷いが消える
- 選択肢が一つに絞られる
その結果として、最もシンプルで、自分の本心に近い言葉が自然に出てくるのです。
だから本番を終えたあと、「思ったより言えたな」と感じることが起こります。
第3章|こう考えるとうまくいく(考え方のヒント)
ここからは、私自身が意識している考え方を三つご紹介します。
いずれも話し方の技術ではなく、認識の切り替えです。
① うまく話そうとしない
目的を「上手に話すこと」から、「感謝や思いを向けること」に切り替えます。
言葉は評価されるためのものではなく、誰かに向けて置いていくものだと考えています。
② 覚えるのは一文だけにする
完璧な原稿を覚える必要はありません。
「これだけ伝えられれば十分」という一文を決めておくだけで構いません。
それだけで、気持ちは驚くほど楽になります。
③ 「失敗してもいい」ではなく、「もう行くしかない」と決める
腹を決めるというのは、気合を入れることではありません。
余計な選択肢を手放すことだと思います。
決めた瞬間、雑念は自然と静まっていきます。
結び|言えないのは、弱さではない
言えないと感じるのは、逃げているからではありません。
真剣だからこそ迷い、悩む。
そして腹が決まったとき、人は自然に動けるのだと思います。
もし今、「言えない自分」を責めてしまっている方がいらっしゃったら、ぜひこう考えてみてください。
言えないのではなく、
言えないと思わされているだけかもしれない。
本番は、人を試す場ではありません。
余計なものが削ぎ落とされる場なのだと思います。
きっと、大丈夫です。

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